QuitMate QuitMate

ギャンブル依存症とは?症状・セルフチェックと回復への道

ギャンブル

「次こそは取り返せる」。そう思って続けているうちに、借金や貯金の減り方が、無視できない金額になっていく。そしてある夜、検索バーに「ギャンブル依存症」と打ち込む。自分は、あるいは家族は、これに当てはまるのだろうか、と。

ギャンブルがやめられないのは、意志が弱いからでも、性格がだらしないからでもない。それは医学的に「ギャンブル障害」と呼ばれる状態で、脳の働きの変化を伴う。そして、そこから回復している人は実際にたくさんいる。

この記事では、ギャンブル依存症とは何かという定義から、症状のセルフチェック、治療と回復の選択肢、相談できる窓口までをまとめた。気になるところから読んでほしい。

ギャンブル依存症に向き合う人

ギャンブル依存症とは

ギャンブル依存症は、正式には「ギャンブル障害」と呼ばれる。WHOの国際的な疾病分類(ICD-11)にも、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)にも記載された、れっきとした精神疾患だ。かつては「のめり込みやすい性格」の問題とされた時期もあったが、今は脳の報酬系に変化が起きる病気として理解されている。

特徴は、自分でもやめたいと思っているのに、やめられないこと。お金が減り、人間関係が壊れ、ときに仕事を失ってもなお、賭けに向かう力のほうが勝ってしまう。これは「やる気を出せば止められる」たぐいの話ではない。

厚生労働省が2017年に行った全国調査では、生涯のうちにギャンブル障害が疑われた経験のある成人は約3.6%と推計されている。決してまれな状態ではない。その一方で、専門機関に相談する人はごく一部にとどまっている。

ギャンブル依存症の主な症状

ギャンブル障害は、医学的にはいくつかの特徴的なサインで確認される。賭け金がだんだん増えていく、やめようとすると落ち着かない、負けを別の日に取り返そうとする、隠すために嘘をつく、人間関係や仕事を犠牲にしてしまう、お金を借りてまで続けてしまう。こうした行動は「気合が足りない」のではなく、脳と行動に起きた変化のあらわれだ。

自分や家族が当てはまるかどうかは、次のセルフチェックである程度つかめる。

セルフチェック:あなたは当てはまる?

このセルフチェックは、米国精神医学会(APA)の診断マニュアルDSM-5にある「ギャンブル障害」の診断基準(9項目)を、自分で確認できるよう平易に言い換えたものだ。医療機関での診断にも使われる基準で、過去12か月の状態をふり返る。

当てはまるものにチェックを入れてみてほしい。チェックした数に応じて、下に目安が表示される。

出典:DSM-5「ギャンブル障害」の診断基準
該当:0 / 9 項目

チェックを入れると、ここに目安が表示されます。

過去12か月で4つ以上当てはまる場合、医学的にはギャンブル障害の可能性が考えられる(4〜5個で軽症、6〜7個で中等症、8〜9個で重症が目安)。ただし、これは正式な診断ではない。そして、当てはまる数が多くても、自分を責める必要はまったくない。当てはまったということは、そこに医学的な背景があるとわかったということで、つまり対処のしようがある、ということだ。

より詳しく調べたいときは、SOGSや、日本で開発されたLOST、久里浜医療センターが公開しているPGSI日本語版といったセルフチェックがある。最終的な診断や重症度の評価は、依存症を専門に扱う医療機関で受けられる。

なぜやめられないのか

「やめたいのにやめられない」背景には、脳の仕組みがある。ギャンブルの「たまに当たる」という構造(間欠強化)は、毎回確実にもらえる報酬よりも強くドーパミンを引き出す。さらにギャンブル障害では、惜しい外れ(ニアミス)に報酬系が過剰に反応する一方で、ブレーキ役の前頭前野の働きが弱まることがわかっている。アクセル全開でブレーキが効きにくい状態だ。

加えて、ギャンブルが不安やストレスの「逃げ場」になっているケースも多い。つらさを一時的に忘れる手段として、賭けが選ばれているという側面だ。

このあたりの仕組みは「ギャンブルをやめられない本当の理由」で脳科学と心理学から詳しく解説している。惜しい外れがなぜこれほど人を引きつけるのかは「リーチで外れが一番ゾクゾクする。ニアミスの科学」を読んでほしい。

放置するとどうなる

ギャンブル障害は、時間とともに金銭面だけでなく心身にも影響が広がりやすい。借金の膨張や家族との関係の悪化に加えて、うつや不安を併発することも少なくない。気分が落ち込んだ状態でさらに賭けに向かう、という悪循環にも陥りやすい。

逆に言えば、賭けを止めると、お金と心は少しずつ戻ってくる。やめてからの変化を時期ごとに知りたい場合は「ギャンブルをやめて2週間」から始まるシリーズで、データとともに追っている。依存が人生からどう色を奪い、回復で何が戻るのかは「依存症は人生を灰色に変える」でも書いた。

治療と回復の選択肢

「ギャンブル依存症は治るのか」とよく聞かれる。完全に消える「完治」というより、賭けない生活を続けられる状態へ「回復」していく、という捉え方が実態に近い。そして回復は、特別な人だけのものではない。

主な選択肢は次のとおり。

  • 専門的な治療:認知行動療法(CBT)には、「賭ければ取り返せる」という考えの歪みを整理する効果が確認されている。渇望を和らげる薬物療法が選ばれることもある。精神保健福祉センターや依存症専門外来で相談できる。
  • 物理的にアクセスを断つ:パチンコ店への自己申告プログラム、オンラインギャンブルのブロックアプリ、クレジットカードのギャンブル利用制限など。意志で我慢するより、賭けに届く経路を先にふさぐほうが現実的だ。スマホからワンタップで賭けられるオンラインはとくに遮断が重要で、「スポーツベッティングにハマる仕組み」で具体策に触れている。
  • 自助グループ・仲間とつながる:ギャンブラーズ・アノニマス(GA)のように、同じ課題を持つ人が集まる場がある。QuitMateのような、依存からの回復に取り組む人が匿名で集まるオンラインコミュニティも、その一つだ。ひとりで抱えるより、回復はずっと進みやすくなる。

スマホでギャンブルサイトをブロックする画面

具体的な進め方は「ギャンブルをやめたい人へ。科学に基づく回復の5ステップ」に手順としてまとめてある。仲間の存在がなぜ回復を後押しするのかは「ピアサポートの効果と意義」を参照してほしい。

家族ができること

本人ではなく、家族として読んでいる人もいると思う。

つい「もうやめて」と問い詰めたり、「次やったら離婚」と警告したくなる。ただ、正面からの非難や警告は、かえって本人を頑なにさせたり、隠れて賭ける方向に追い込んだりしやすい。理由は「ギャンブラーに「負けるよ」と言うとキレられる罠」で説明している。

家族自身が孤立しないことも、同じくらい大事だ。全国ギャンブル依存症家族の会のように、同じ立場の家族がつながれる場がある。借金の肩代わりをどうするかなど、対応に迷ったときこそ、家族向けの相談窓口を使ってほしい。

どこに相談すればいいか

相談先を整理しておく。どれも、いきなり病院に行く前のはじめの一歩として使える。

  • 精神保健福祉センター:各都道府県・政令市にある公的な相談窓口。依存症の相談に対応し、地域の医療機関や自助グループも紹介してもらえる。
  • 依存症専門の医療機関・外来:診断や治療を受けられる。久里浜医療センターなど、ギャンブル依存を専門に扱う施設がある。
  • ギャンブラーズ・アノニマス(GA):本人のための自助グループ。匿名・無料で参加でき、名簿もない。
  • 全国ギャンブル依存症家族の会:家族のための会。同じ経験をした人と話せる。
  • QuitMate:依存からの回復に取り組む人が集まる匿名のオンラインコミュニティ。誰かに直接打ち明けなくても、同じ経験をした人の言葉に触れるところから始められる。

どこに連絡するにしても、共通して言えるのは、ひとりで抱え込まないほうが回復は早い、ということだ。

今日からできること

大きな決心はいらない。今日できるのは、たとえばこのくらいのことだ。

  • これまでの負け額や、ギャンブルに使った時間を、いちど紙やスマホに書き出してみる
  • ブロックアプリを入れる、パチンコ店の自己申告プログラムを調べるなど、アクセス遮断をひとつだけ試す
  • 上のセルフチェックでいくつ当てはまったかを覚えておき、相談先のどれか一つをブックマークする

ギャンブル依存症は、意志の弱さの問題ではない。仕組みを知り、環境を変え、人の力を借りれば、流れは変えられる。そして、それを全部ひとりでやる必要はない。


参考文献
  1. American Psychiatric Association (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-5).
  2. World Health Organization (2019). International Classification of Diseases 11th Revision (ICD-11).
  3. 厚生労働省 (2017). 「ギャンブル障害等の実態調査」(国内のギャンブル等依存に関する疫学調査).
  4. 久里浜医療センター/依存症対策全国センター. ギャンブル障害のスクリーニング(PGSI日本語版ほか).
  5. Clark, L., et al. (2013). Pathological choice: the neuroscience of gambling and gambling addiction. The Journal of Neuroscience, 33(45).
X LINE はてブ

こちらもおすすめ

ギャンブルをやめて3ヶ月〜1年で起きること。判断力とお金が戻る【データ検証】
ギャンブル

ギャンブルをやめて3ヶ月〜1年で起きること。判断力とお金が戻る【データ検証】

ギャンブルを3ヶ月続けられるのは全体の約11%。そこを越えると「次は勝てる」という思考が薄れ、借金が減り、生活が戻ってくる。ただし衝動はゼロにはならない。90日到達者の約6割が一度はリセットを経験していた。長期のリアルを実データで見ていく。

ギャンブルをやめて3週間〜1ヶ月。慣れた頃に来る「壁」とお金が戻る実感【データ検証】
ギャンブル

ギャンブルをやめて3週間〜1ヶ月。慣れた頃に来る「壁」とお金が戻る実感【データ検証】

禁酒ならリセットの6割が最初の3日に集中する。ところがギャンブルは3週目に8.5%、1ヶ月以降にも10.8%と、ずっと分散している。引き金が身体ではなく「機会」だからだ。気の緩みと給料日の壁、お金が戻る実感、戻りそうになった人の対処を実データで見ていく。

ギャンブルをやめて2週間。お金と心の変化と「2週目の壁」【データ検証】
ギャンブル

ギャンブルをやめて2週間。お金と心の変化と「2週目の壁」【データ検証】

QuitMateのデータでは、1週間を越えた人の約72%が2週間まで到達している。お金が減らない感覚、ギャンブルを考えない時間が増える変化、そして「暇」と「給料日」に潜む2週目の落とし穴を、実際の投稿データで見ていく。

ギャンブル依存の苦しみはみんな隠している
ギャンブル

ギャンブル依存の苦しみはみんな隠している

日本でギャンブル依存を抱えている人は推計196万人。医療や自助グループにつながっているのはその1%にも満たない。99%は誰にも見せないまま暮らしている。その中で何が起きていて、何ができるか。

QuitMateアプリのカテゴリ選択画面
QuitMateアプリのコミュニティ投稿画面
QuitMateアプリの回復プログラム画面
QuitMate

QuitMate

共になら、やめられる

同じ悩みを持つ仲間と支え合える依存症克服コミュニティアプリ。禁酒・禁煙・禁ギャンブルなど、一人じゃないから続けられる。