QuitMate QuitMate

データと科学的背景

QuitMate は治療アプリではない。
だから、測り方に誠実でいる。

QuitMate は、依存からの回復を目指す人のための匿名コミュニティアプリです。医療機器ではなく、治療の代わりにもなりません。 その上で私たちは、アプリの設計を依存症研究で効果が確かめられてきた仕組みに沿わせ、利用データの集計方法を公開し、言えないことを言わない、という方針で運営しています。 このページは、その全体像をまとめたものです。

01

なぜ「記録」と「仲間」なのか

QuitMate の中心機能は2つだけです。やめている日数を記録すること。同じ目標を持つ仲間とつながること。 この2つを選んでいるのは、どちらも依存症・行動変容の研究で繰り返し効果が確認されてきた仕組みだからです。

これらは「QuitMate の効果」の証明ではなく、QuitMate が実装している仕組みそれぞれの、独立した研究における知見です。

02

QuitMate で観察されていること

以下は2026年6月時点の利用データです。すべて本番データベースから集計し、2025年次レポートの公開値と突合して確認しています。

83.8%
リラプス後30日以内に再びアプリで活動した人の割合
初回の挑戦が7〜89日でリセットになった1,026人。リセット翌々日以降のアクセスのみ集計
48.0%
登録30日後も利用を続けている割合
2025年1〜9月登録の3,097人。健康・メンタル系アプリ93本の中央値は3.3%(Baumel 2019)
8.1
最長記録に到達するまでの平均挑戦回数
2025年に挑戦した1,143人(中央値2回)。失敗を前提に、何度でも再開できる設計
419
90日以上の継続記録を更新中の人
2026年6月時点のアクティブユーザー。1年以上は132人

投稿に含まれる気分・渇望のスコアは、リセットの2週間以上前から当日にかけて単調に悪化していきます(気分 4.95 → 3.66、渇望 5.35 → 6.10。対象 28,901投稿)。 渇望の高まりと気分の低下が再発に先行するという経験サンプリング研究の知見(Serre et al. 2015 ほか)と一致しており、アプリの記録が回復の実態を捉えていることを示すものだと考えています。

重要な注記: これらは観察データです。「QuitMate を使ったから続いた」という因果関係は、この数字からは言えません(詳しくは 04)。

03

どう測っているか(右打ち切り)

この種のアプリの統計には、よくある罠があります。アプリを使わなくなった人の「継続日数」が、記録上は永遠に伸び続けてしまうことです。 放置されたカウンターをそのまま数えると、継続率はいくらでも高く見せられます。

QuitMate では生存分析の標準手法(右打ち切り)を使い、挑戦を3つに分類しています。

分類条件日数の数え方
終了本人がリセットを記録開始からリセットまで
継続中直近30日に利用あり開始から現在まで
打ち切り30日以上利用なし開始から最終利用日までで打ち切り

さらに、離脱した人を「失敗」とみなす厳しい推定(臨床試験で使われる Russell Standard と同じ思想)と、打ち切りとして扱う標準的な推定の両方を計算し、真の値はその間にあるとして公表しています。 開始日を過去にさかのぼって登録できる仕様の影響も、アプリ内で新しく始まった挑戦に限定する形で除外しています。

計算方法の全文と限界は年次レポートの調査方法・Limitations に記載しています。レポートは CC BY 4.0 で公開しており、数値・図表は出典明記で自由に利用できます。

04

私たちが言わないこと

  • 「QuitMate で依存症が治る」とは言いません。 対照群のない観察データだからです。回復支援アプリの臨床試験では、アプリを使わない比較群でも大きく改善することが知られています(例: Gustafson et al. 2014 では対照群の65.5%が12ヶ月後に断酒)。利用者の改善をそのままアプリの効果と呼ぶことはできません。
  • 「自助会や治療と同等の効果」とは言いません。 QuitMate の継続率は自助会・治療プログラムの報告と同水準のレンジにありますが、対象者・重症度・期間・定義が異なるため、並べて優劣を語ることはできません。
  • 都合のよい数字だけを選びません。 厳しい側の推定値(離脱を失敗とみなした場合の継続率)も含めて公開しています。利用をやめた人の転帰は原理的に観測できず、その不確実性は幅として示すべきものだと考えています。

言えないことを言わない代わりに、観察された事実は隠さず出す。それがこのプロジェクトの方針です。

05

研究者・医療職・支援者の方へ

日本では、ギャンブル問題が疑われる人は直近1年で約70万人と推計される一方、専門外来を受診するのは年間3,000人弱です(厚生労働省・久里浜医療センターの調査より)。 治療につながらない大多数の人が最初に手に取れる場所として、私たちは匿名・低敷居のコミュニティを運営し、必要な人を専門機関・自助グループへつなぐことを目指しています。

  • 年次レポートと集計方法は CC BY 4.0 で公開しています
  • 研究目的での匿名化済み集計データの提供、共同研究のご相談を歓迎します
  • 集計方法への指摘・外部レビューを歓迎します

連絡先: [email protected]。報道関係者の方は「プレスキット」もご覧ください。

相談窓口

依存の悩みは、ひとりで抱えなくていい。お住まいの地域の精神保健福祉センター、依存症対策の専門相談窓口、各依存の自助グループ(GA・AA・NA 等)に相談できる。緊急時はお住まいの自治体の相談ダイヤルへ。

最終更新: 2026年6月。掲載数値は当時点の本番データベースの集計値であり、定期的に更新する。