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20年間の過食嘔吐と、266件の投稿が記録した回復

過食 Read in English

スマホに投稿する女性

ねねさんはアプリに266件の投稿を残してくれた。

10代前半から20年、過食嘔吐と闘ってきた人の記録だ。最初の2ヶ月間で22回リセットし、最長でも6日しか続かなかった。ところが2025年1月を境に突然安定し、420日間一度も崩れていない。

この記事では、ねねさんの266件の投稿を時系列で追う。転換点の前後でなにが起きたのか。本人が、はっきり書き残していた。

2024年11月:アプリに来た日

ねねさんがアプリに登録したのは2024年11月20日。最初の投稿はこうだった。

せっかくこんなにも人間関係が素晴らしい仕事をしているのに、カショオで休むことで信頼関係を失っているから。あと、来年1月から収入が減るので、また夜の仕事に二度と戻らなくていいように。

「カショオ」は過食嘔吐の略称。初日から、なぜやめたいのかを明確に書いている。仕事の信頼を失いたくない。もう夜の仕事には戻らない。

同じ日に、克服プログラムまで自分で設計していた。

1.過食衝動がない日→ご褒美(チーズ、瞑想) 2.過食衝動がある日→代替行動(お風呂)→成功したらご褒美 3.過食衝動がある日→失敗→使った時間と金額を記録

最初の2ヶ月間

11月25日、5日間過食せずに過ごせた日。

みんな聞いてくれ、今日は帰宅して即風呂(いつもなら即過食)、上がってご褒美に飲酒とおつまみ(いつもなら絶対過食)、適度に飲んで今から布団に入る!!

過食せず布団に入った。偉すぎて5億振り込んでほしい

翌日、6日目でリセット。

昨晩はやらかし😭次は7日めざす!

これが繰り返された。4日続く、崩れる。3日続く、崩れる。1日で崩れる。12月はほぼ毎週リセットしている。

12月13日、ねねさんは一旦あきらめた。

18日まで一旦諦めます。お酒飲めて社歴長いとどうしても偉い人の接待に駆り出されるし(中略)年末は接待でどうしてもペース乱しがち。。太ってもいいしやらかしてもいいや。

12月25日。

極論、カショオしてても日常生活に影響がなければいい。去年と比べたら今年は半分くらいしかカショオしてない。すごい進歩だ。いきなり完璧にはならないことを学ぶ。

12月26日。

年内は諦めました

1月9日:トリガーを言語化した日

年が明けて、ねねさんはある投稿を書いた。

トリガーになるものは

  • 生理前などの体調面
  • ストレス(忙しい時期)
  • お酒
  • 人との会食が重なる時

逆に、誰にも逢わずに引きこもっててお酒を呑まずSNSも控えてるとうまく行くことが多いと感じる。

自分の過食のトリガーを、はっきり4つ書き出している。そして「お酒を飲まないとうまくいく」と気づいていた。

ただ、この時点ではまだ崩れている。1月16日に1日でリセット、1月21日にも1日でリセット。

1月22日:最後のリセット

1月22日。また崩れた。

2日間詰めてた本当に最悪

同じ日に、もう2件投稿している。

吐いてスッキリしてる時やお酒飲んでない時、適度にお腹が空いてる時はすごく明晰で気持ちいいんだよな。

過食さえなければ人生めちゃくちゃバラ色なんやけどなぁ

翌日、1月23日。

今日は久々に過食しないで眠れる予感!

1月24日。

普通に食事してぐっすり寝て、朝ちゃんと起きて会社来るだけでこんなに幸せなのになんでたまにやらかすんだろうな〜。

ここから、420日間崩れていない。

「人生で一番大切だったものを手放した」

転換点から11日後の2月2日。ねねさんはこう書いている。

過食と手を切る過程で人生で一番大切だったものを手放しました。でもこうしないと人生変わらなかったと思うから後悔はありません。

なにを手放したのか。後の投稿から推察できるのは、パートナーとの関係だ。6月の投稿にこうある。

カショオのせいで全てを無駄にしたな。青春、学歴、キャリア、愛した人。

本当に好きな人と結婚できたんだから、絶対に迷惑かけない存在でいないと思い込んでいた。

大切な人を手放す覚悟をしたこと。 それが転換点の一つだった。

アルコールが過食のトリガーだった

もう一つ、明確な変化があった。ねねさんは過食と同時にアルコールもやめた。

2月11日の投稿。

アルコールも絶対に辞める、飲んだくれキャラも捨てて会食の時もお酒を辞める、というルールにしてからは過食嘔吐もせずに来られています。 アルコールがもたらす精神作用で過食が悪化していたのは間違いなさそう。

1月9日にトリガーとして「お酒」を挙げていた。それを実行に移したのが転換点の前後だった。

6月5日、134日目の投稿ではさらに踏み込んでいる。

結局「飲みたい」と「食べたい」がセットでくるので「飲みたい」の方も抑制してみることにして、過食もアルコールも134日辞められています。

ねねさんが振り返った「効いたこと」

2月23日、過食なし1ヶ月を達成した日。自分で「効いたこと」をまとめていた。

治療として効いたものは多分

  • しんどい日は仕事をラフに休む
  • 無理しない。(持ってたブランド品は全部売った)
  • 楽しいと思えること(勉強)を見つけた
  • 嫌いな奴全員心の中でチーンした
  • その日頑張ったこと、その日あったいいことを3つずつ記録する(ただしめんどくさいと思ったらしない)
  • 人をできるだけ頼る
  • アルコールも同時にやめてみる

そしてこう続けている。

死ぬほど働いたりめちゃくちゃ運動したりしてた時期もあったけど、私には頑張るのは向いてない!お布団大好き!それでいいのだ!

「頑張らない」が治療だった

ねねさんの投稿を時系列で読むと、一つのテーマが浮かび上がる。「頑張らない」だ。

2月20日。

多分誰でも今のまま生きてるだけで気がつかないうちに少しずつ良くなってるし、体重気にしたままでも3食食べなくても瞑想とかしなくても、何も変わらなくても今のままで良くなることだってできるし、その方が現実的な気がしてきた。

3月12日、49日目。

別に自分の中の何かを大きく変えなくても、良くなることはできるのは理解しておきたい。今のままで良くなっていける。

5月12日、109日目。

とにかくなんでも詰め込むのが癖だったけど、のんびりペースでやってもそんなに自分は衰退していかないと信じられるようになってきた気がする。頑張っても頑張らなくても上手くいくときは上手くいくし、ダメな時はダメ。

5月23日、121日目。ねねさんは20年間の自分の努力をこう振り返っている。

私は治るために20年めちゃくちゃ努力した、分単位で自分の行動を管理するアプリも使ったし、1ヶ月本当ににんじんジュースと水だけで過ごしたこともある。 でもぜーーーーんぶ無駄やった!!だって「我慢して意思を抑圧すれば良くなる」という部分がおそらく自分に合っていなかったから。

努力、あんまりお勧めしません。自責、無意味でした。意思を強くする、そもそもここにいる人は意思が弱くありません。

100日目、150日目

5月2日、100日目。ねねさんはフードコートで勉強していた。

隣にいた夫婦に「よぉ勉強しはる、きっとええことあるわ」って言ってもらえて何故か泣きそうになるなど。

長かったなぁ、ここまでくるのに20年。今がいちばん幸せよ!

6月21日、150日目。ホテルの朝食バイキングで。

食べ放題、もちろん普段よりは食べすぎるんだけれども。でも吐かずに二度寝できるくらいではある。

壊れるまで走るな、じゃないんだよな。壊れるまで走れる人はそもそも限られてるし、壊れるまで走ってしまう人は誰が止めようと壊れるまで走り続けてしまうんだよ。

「突然」ではなかった

266件の投稿を時系列で並べると、転換点は「突然」ではなかった。

1月9日にトリガーを言語化していた。11月の時点で克服プログラムを自分で設計していた。12月に「いきなり完璧にはならない」と書いていた。全部、転換点の前に起きていたことだ。

データだけ見ると「22回リセット→突然420日」に見える。でも投稿を読むと、着実になにかが積み上がっていた。

3月3日、ねねさんはこう書いている。

長年摂食障害を患ってきたことは、自分の人生の中では無視できないボリュームの出来事なのに、それをずっと誰にも話せなかったことで、いつも嘘をついているような後ろめたさがあった。ここで画面の向こうで自分の投稿を見てくれる人がいることに、こんなに癒されるなんて思ってもみなかった。

ねねさんは学生時代に過食嘔吐が親にバレて殴られた。それ以来、誰にも話せなかったと書いている。アプリのコミュニティが、初めて話せる場所だった。

266件の投稿は、20年間誰にも言えなかったことの記録だ。

次の1日を記録する

QuitMateにはカウンターとコミュニティ、そして回復プログラムがある。崩れたらゼロに戻して、また1日目から始められる。そして、その日あったことを誰かに向けて書ける。

ねねさんは22回ゼロに戻した。毎回、またアプリを開いて「1日目」を始めた。そのたびに投稿を書いた。

この記事はQuitMateアプリのユーザーデータおよびコミュニティ投稿に基づく。投稿の引用は匿名化の上、趣旨を変えない範囲で一部を抜粋している。対照群がないため因果関係の証明ではなく、自己選択バイアスが存在する。

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